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液体窒素に対応できる?(発泡)プラスチック

数年前の話になりますが、ある研究機関から「液体窒素の温度に対応できる発泡体はありますか?」と問い合わせがありました。

液体窒素は196度以下の状態です。普通に考えれば無いと答えるのが当然でしょう。電話でお話をさせて頂きましたが、かなりご熱心な方でしたので、私も根負けをして「試験結果を教えて頂けること」を前提として、できるだけのカットサンプルを用意いたしました。

数週間後、私はすっかり忘れていましたが、研究者の方は提供したことを覚えて頂いておりまして、簡単なレポートを送って頂きました。

試験状況は、液体窒素の中に試験体を入れ、見た目と収縮度合いを目視で評価、簡単に割れてしまわないか確認、強い衝撃で割れるか、3段階に分けて試験されたそうです。

耐寒性のある材料でも、ポリエチレンは-20℃くらいとされています。ゴムにおいてはシリコーンゴムが-70度程度です。

果たして試験結果はどうだったかと言うと、ほとんどの材料は手で割れてしまったようですが、2種類は大きな衝撃を与えると割れました。さらにもう2種類は足で踏みつけるような衝撃でも割れなかった材料があったそうです。

それ以上の情報の開示は私もあえて求めませんでしたが、非常に大きな試験結果でした。

同じ原料を使用しながら、限界を超える性能を持つ製品が存在しているというのは楽しい限りです。

弊社は研究機関を保有していませんのでしっかりとした実験はできませんが、今後の大きな一歩にもなるかもしれません。

気になる点は、繰り返しの試験をしていない事です。樹脂は高熱への温度変化に対して、繰り返し試験を試みると脆くなる傾向がありますが、(リサイクルプラスチック製品の物性が安定しない要因でもあります。)樹脂を冷やすことはあまり実績がない様です。冷凍庫であれば、冷やしたままの状態ですし、それ以外の用途と言うのは非常に希でしょうから、私にも経験や知見がありません。

現在、カーボンニュートラル(グリーン成長戦略)を進めて行く中で、CO2回収船などにおいては非常に低い温度を扱うことも推測されています。そのような事業に携われたのなら、地球環境改善において役に立てるかもしれません。

できる範囲、ご相談には対応させて頂きたいと思いますので、お気軽にご連絡いただけると嬉しく思います。

写真は発泡スチロールの原料です。

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