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樹脂の膨張
基本的に、物体は熱を有することで体積が大きく(膨張)なります。いわゆる熱膨張です。
体積で表わされた係数を体積膨張率と呼びますが、一般的に長さで表現し、線膨張係数と呼ばれるものが良く使用されます。温度が変化したときの数値を計算するのは非常に複雑な計算式を用います。ここではその計算方法を提示するのではなく、膨張することでどのようなことが起きるのか、注意すべきことは何か、対処法は、、、等分かりやすく簡単に記載していきます。
先ず、物体が熱を持つと大きくなるがどのくらい大きくなるのか?1000ミリの長さのものが、20度から50度に変化した際
金属での例:アルミニウム(A7075)は、0.708ミリ大きくなります。
樹脂での例:塩化ビニル(中間値)は、4.8ミリ大きくなります。
塩化ビニルはアルミニウムに比べて約3倍の数値となります。
1000ミリでは、少し差が出ている程度と思われた方もいるかもしれません。
しかし、建材などで使用される場合、一般的な天井の高さは2400ミリぐらいあります。直射日光が当たると、塩化ビニルは11ミリ程度伸びることになります。隙間が出てしまい、クレームの対象にもなるでしょう。
特に屋外での使用は注意が必要です。線膨張の少ない物と、線膨張の高いものを組み合わせた際、製品によっては不良となるケースがあるのです。生産時と使用時での伸縮の差が故障や不良にもなるケースがあるのです。
また、接着剤を使用した場合、剥がれの原因にもなる可能性があります。異なる膨張は、地盤でいう地滑りの状態となり、互いの素材が剥離する可能性があるのです。原因は紫外線や、水滴、劣化など他にもありますが、膨張の度合いの差が大きいと、剥がれの大きな要因となります。
では、膨張を抑えることができるのか?といった疑問があると思います。柔らかい樹脂においては、少し効果があります。伸縮の少ない物を物理的に接着させることで少し強制することができます。また、釘やビスなどで固定させても伸縮は少し抑制できます。
全てが対応できるわけではありませんが、製造される方々の技術と工夫であらゆるところで活かされているようです。
素材、環境によって条件が異なるために、1部の例としての紹介です。
まとめ
樹脂の膨張は、温度の変化によって引き起こされ、特に屋外での使用では問題となります。例えば、アルミニウムと比較して塩化ビニルは約3倍膨張しやすく、建材ではこの膨張が隙間や不具合の原因となる可能性があります。また、膨張の違いによって接着剤の剥がれも起こりやすくなります。対策として、柔らかい樹脂での対応や固定方法が一部有効ですが、素材や環境に応じた工夫が必要です。