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某メーカーさんのゴムのCM

先日、某メーカーさんの250℃以上の耐熱性を有するゴムのCMを見ました。我ながらすごい技術と感心しましたが、ゴムやプラスチックの業界からすると、このような製品が一般的に出回ることは、何年後になるのだろうと思ってしまいました。

揶揄するわけではありません。私が思うに、現在の設備や機械において、世の中のゴムに対する性能は、現状の温度が限界であると認識されているからです。つまり、現状の耐熱温度でほとんどの設備や機械が設計されており、耐熱性が上がったといって今後の技術革新に大きな影響を与えることは無いでしょう。しかし、業界にとってはテレビCMで流すほどの衝撃だと考えています。

特に日本の設計の考え方は、安全、耐久性で信頼を得る方式ですから、新しい材料をすぐに取り入れて設計を考えることは稀だと思います。実績のある性能に予防対策を考えながら、信頼しきらず設計をすることで、多くの実績を残しているのではと思います。

一つの材料のスペックが上がったからと言って、全体の性能も追随していない可能性も充分にあるのではないでしょうか。冒頭の材料は、宇宙においての対応となるのですから、大きな躍進となり、様々な部分で設計の改善となるでしょう。私の予測ですが、今までの材料はもっと比重が高く、硬い製品が使われていたと思います。つまり、構造の薄さや簡素化、全体の軽量化が進み、内部の容量の増加や部品の点数までも減らすこともみえてきます。我々の想像以上の設計でしょうから、計り知れない作用があると思います。

汎用の部材は、コストや納期、取り回しなど性能以上の点を求められることが多くあります。使用先に向けた選定が必要となってくるでしょう。CMを見て気になったのが、溶けないという表現をしていました。ゴムは一般的に高い温度が加わると固くなり、溶けていきます。3つ以上の融点を持ち、ある程度の温度を基準に硬化が始まるのです。「溶ける」という表現をしたのは、もしかしてエラストマーなのかもしれませんね。エラストマーだと硫黄を含まない可能性が高いので、宇宙でも使用しやすいと思います。

(硫黄は飛散して電極に付着して障害を起こす危険があるのです)

写真は、耐熱性の高いシリコーンスポンジです。

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