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なぜ架橋ポリエチレンは多いのに、架橋ポリプロピレンは少ないのか?

架橋ポリプロピレン(架橋PP)は、まったく存在しないわけではありません。研究や特許では製造例があり、一部の特殊な用途で使われています。ただし、架橋ポリエチレン(架橋PE)ほど一般的な材料ではありません。その大きな理由は、ポリプロピレンの分子の性質にあります。

「架橋」とは、細長い分子同士を橋のようにつなぎ、網目状の構造をつくることです。ポリエチレンは、架橋剤や電子線などによって反応させると、分子同士が比較的つながりやすくなります。一方、ポリプロピレンは、分子同士がつながる前に、分子の鎖が切れやすい性質を持っています。この現象を「β開裂」といいます。

分子の鎖が切れると、材料の粘りや強度が低下し、割れやすくなることがあります。また、発泡させる場合には、気泡を保ちにくくなります。そのため、通常のポリエチレンと同じ方法でポリプロピレンを架橋しても、期待した効果を得にくいのです。

ポリプロピレンを架橋するには、電子線やガンマ線を照射したり、架橋を助ける材料を加えたりする必要があります。しかし、材料の組み合わせや反応条件の調整が難しく、製造費用も高くなります。品質を一定に保ちにくいことも問題です。

さらに、ポリプロピレンは、もともとポリエチレンより耐熱性や硬さに優れています。そのため、多くの用途では、高い費用をかけて架橋しなくても、通常のポリプロピレンで必要な性能を得られます。

また、強く架橋すると、加熱しても溶けにくくなるため、再成形や端材の再利用が難しくなります。これは、加工のしやすさやリサイクル性というポリプロピレンの長所を失うことにもつながります。

つまり、架橋ポリプロピレンが一般的でないのは、「製造できないから」ではありません。製造が難しく費用がかかるうえ、通常のポリプロピレンや改良された材料で必要な性能を得られる場合が多いため、架橋ポリエチレンほど普及していないのです。

一般的な材料は、コスト、製造面での優位性、もしくは必要とされる用途が噛み合わされることが条件となります。ポリプロピレンは、樹脂として最も比重の軽い部類ですが、現状として必要とされにくい状態にあるのかもしれません。当然使用者としては、架橋であろうが無架橋であろうが使用できれば良いということですから、無架橋のもの、代替できる材料であれば良いのでしょう。

 

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