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スペックイン営業の苦い経験

私が営業職のころ、得意先から部品の提案をしてほしいと依頼がありました。現状使っている部品のコストを下げたいことが理由です。私は現状のサンプルを得意先様から入手し、物性や原料を聞きました。同等に近い成分で、性能を上げたものを提案しました。当然、価格は既存の単価より下がったもので対応ができ、お陰様で現在も受注を頂いています。

しばらくして、再度材料の提案依頼を頂きました。同等の性能は出せたのですが、材料の物性は少し低くなりました。試験も基準クリアして通り、価格も大きく下げることができました。しかし現場からは、材料としての物性が少しでも下がるのは使いたくないとの声が上がりました。私が接している購買部は、コスト削減を中心に業務を行っているので、試験をクリアしているにもかかわらず、現場で使用できないとはと不快感がある様でした。

現場の意見は、長期間の実績があるので安心して使用でき、現時点では問題や改善点が無いために、想定のつかないトラブルがある恐れがあるものは非常に怖いそうです。そして、不具合が起こった際、リコールに繋がったり、会社の信用がなくなるケースになれば、現場の責任にもなりかねないのです。部品の単価が下がることと、会社の信用がなくなることを天秤にかければ、会社は信用を選ばざるを得ないようです。

私が営業をしていた時は、いい提案ができたのにもかかわらず採用されなかった悔しい思いを何度もしましたが、現場の立場を考えれば納得します。

別の見方をすれば、その企業は技術の革新が無いとも判断できてしまいます。非常に難しい判断です。特に物を製造する企業と言うのは、革新と信用が伴っていることが重要です。今まで通りのことを安定して信頼できる製品を出荷することも重要です。

先ほどの件に戻りますが、他の企業で採用された前例があれば、私の営業した案件も受注につながったかもしれませんね。(いまだに実績は無いようですが、、、)

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